都道府県・市区町村別の葬儀サービス一覧

2025年10月
  • 葬儀の返礼品で避けたいタブーな品物

    生活

    葬儀の返礼品は、弔問客への感謝を示す大切な品物ですが、その選び方には、日本の文化や宗教観に基づいた、いくつかのタブーが存在します。良かれと思って選んだ品物が、かえって相手に不快な思いをさせてしまったり、非常識だと思われたりすることのないよう、避けるべき品物の特徴を、ここでしっかりと理解しておきましょう。まず、最も避けるべきなのが、お祝い事を連想させる「慶事の品物」です。例えば、鰹節(勝男武士)や昆布(よろこぶ)、お酒といった、結婚式の引き出物で定番の品物は、縁起物としての意味合いが強いため、弔事には全くふさわしくありません。同様に、紅白の色遣いのものや、鶴亀、松竹梅といったおめでたいデザインのパッケージも厳禁です。次に、肉や魚といった、いわゆる「四つ足生臭もの」も、古くからの仏教の教えに基づき、避けるのがマナーとされています。これらは、命を奪う「殺生」を直接的に連想させるため、清浄であるべき弔いの場や、その返礼品としては、忌み嫌われてきました。近年では、ハムや魚の加工品などがカタログギフトに含まれていることもありますが、ご遺族が直接選んで贈る品物としては、避けた方が無難でしょう。また、「商品券」や「ギフトカード」も、一般的には避けるべきとされています。これらは、お返しの金額が、相手に直接的に、そして生々しく分かってしまうため、「感謝の気持ちを品物に託す」という、日本的な奥ゆかしさに欠ける、と考える方が少なくありません。相手に現金をそのままお返しするような、事務的で冷たい印象を与えかねないのです。ただし、非常に高額な香典をいただいた方への後返しとして、相手が本当に必要なものを選べるように、という特別な配慮から商品券が選ばれるケースは、例外的に存在します。葬儀の返礼品選びの基本は、繰り返しになりますが、「不祝儀を残さない」ための「消えもの」です。そして、その中でも、慶事を連想させず、殺生を感じさせず、誰が受け取っても困らない、という条件を満たした品物を選ぶこと。この原則から外れる品物を選ぶ際には、なぜそれがふさわしくないのか、という理由を一度立ち止まって考える冷静さが必要です。

  • なぜ葬儀でドライアイスが必要なのか

    知識

    大切なご家族が亡くなられた後、ご遺体に寄り添う時間の中で、葬儀社のスタッフが白い煙を上げる冷たい塊、すなわち「ドライアイス」をそっと置く光景を目にすることがあります。このドライアイスは、一体何のために使われるのでしょうか。その役割は、故人様の尊厳を守り、穏やかなお別れの時間を確保するために、現代の葬儀において絶対に欠かすことのできない、極めて重要なものです。人の体は、亡くなるとすぐに「死後変化」と呼ばれるプロセスが始まります。心臓が停止し、血液の循環が止まることで、体温は徐々に外気温と同じになるまで低下していきます。そして、体内では自己融解や細菌による分解、つまり腐敗が進行し始めます。この変化は、特に気温の高い夏場などでは急速に進み、ご遺体の見た目の変化や、臭いの発生に繋がります。このような変化が進んでしまうと、ご遺族は生前の穏やかなお顔の故人様と、心静かに対面することが難しくなってしまいます。そこで登場するのが、ドライアイスです。ドライアイスは、二酸化炭素を固体にしたもので、その温度はマイナス七十九度という極低温です。この強力な冷却力によって、ご遺体の温度を低温に保ち、腐敗の進行を劇的に遅らせることができるのです。腹部や胸部といった、内臓があり変化が進みやすい部分を中心にドライアイスを当てることで、ご遺体は生前に近い、安らかな状態を保つことができます。これは、単に衛生的な状態を保つという目的だけではありません。葬儀までの数日間、ご遺族が故人様と対面し、触れ、生前の思い出を語り合う。そのかけがえのない「お別れの時間」を、故人様が生前と変わらぬ美しい姿のままで過ごせるようにするための、深い配慮なのです。ドライアイスは、科学の力で死の自然なプロセスを緩やかにし、残された人々の心に寄り添う時間を作り出す、見えないけれど温かい「手当て」と言えるでしょう。故人の尊厳を守り、遺族の悲しみを癒やす。その静かで冷たい塊には、そんな尊い役割が託されているのです。

  • ドライアイスが支える故人の尊厳

    知識

    葬儀という、人生の終焉を飾る厳粛な儀式。その舞台裏で、故人様の最後の尊厳を、静かに、しかし確実に支えているのが「ドライアイス」の存在です。私たちは、祭壇に飾られた美しい花や、立派な棺に目を奪われがちですが、もしこのドライアイスによる適切な処置がなければ、私たちが知るような、穏やかで美しいお別れの時間は、決して成り立ちません。人の死は、生物学的には、腐敗と分解という、抗いようのない自然の摂理の始まりを意味します。それは、決して汚らわしいことではなく、命あるものの宿命です。しかし、残された私たちにとって、愛する家族が、その姿を急速に変えていってしまうのを目にすることは、あまりにも辛く、悲しい現実です。生前の元気だった頃の、温かい思い出までが、その変化によってかき消されてしまうかのような、深い喪失感を抱かせることでしょう。ドライアイスは、その自然の摂理に、科学の力で、ほんの少しだけ「待った」をかけてくれます。マイナス七十九度の極低温が、腐敗の進行という、目に見えない敵から、故人様の体を守る、静かな盾となるのです。そのおかげで、ご遺族は、葬儀までの数日間、故人様が生前と変わらぬ、安らかな寝顔のままであると信じ、心穏やかに寄り添い、語りかけることができます。遠方に住む親族が駆けつけるための、貴重な時間も、このドライアイスが稼いでくれています。特に、闘病生活の末に、やつれてしまった故人様のお顔を、専門家である納棺師が丁寧に整え、ドライアイスでその状態を維持することで、ご遺族の心に刻まれている「元気だった頃の姿」に、少しでも近づけることができます。これは、残された人々の心を癒やす、非常に重要なグリーフケアの一環です。葬儀を終え、故人様を火葬に付す。それは、故人様の肉体を、自然のサイクルへと還していく、最終的な儀式です。ドライアイスは、その最後の瞬間まで、故人様が「個人」としての尊厳を保ち、美しい記憶と共に旅立っていくための、見えないけれど、なくてはならない「お守り」なのです。その冷たさの中に、残された人々の、故人への深い愛情と、敬意が込められていることを、私たちは忘れてはならないでしょう。

  • マスク着用時の葬儀での振る舞い

    生活

    葬儀でマスクを着用して参列する場合、その振る舞いにも、いくつかの細やかな配慮が求められます。マスクで顔の半分が隠れているからこそ、いつも以上に、丁寧で分かりやすいコミュニケーションを心がけることが大切です。まず、受付での挨拶です。マスクをしていると、声がこもり、相手に聞き取りにくくなることがあります。受付の方に「この度はご愁傷様です」とお悔やみを述べる際には、いつもより少しだけはっきりとした声で、そして相手の目を見て、ゆっくりと話すようにしましょう。軽く会釈をするだけでなく、丁寧に頭を下げることで、マスクで隠れた表情を補い、敬意を伝えることができます。次に、最も重要な場面である「お焼香」の際のマナーです。お焼香の最中に、マスクを外すべきか、着けたままで良いのか、迷う方も多いでしょう。これについては、明確な決まりはありませんが、基本的には「着けたままで問題ない」とされています。無理に外す必要はありません。ただし、もしご自身が、故人に対して、きちんと顔を見せてお別れをしたい、と強く願うのであれば、焼香台の前に進んだ際に、一時的にマスクを外し、焼香と合掌を終えた後、再び着けて自席に戻る、という対応も、丁寧な作法として考えられます。その場合は、外したマスクの扱いに注意が必要です。ポケットに無造作に押し込むのではなく、専用のマスクケースや、清潔なハンカ-チに包んで、スマートに収納しましょう。また、通夜振る舞いや精進落としといった、会食の席での対応も重要です。食事中はマスクを外しますが、席を立って移動する際や、他のテーブルの方と話をする際には、再びマスクを着用するのが、周囲への配慮となります。これを「マスク会食」と呼び、感染症対策として推奨されています。葬儀の場では、言葉を交わす機会は限られています。だからこそ、一つ一つの所作や、視線、お辞儀の角度といった、非言語的なコミュニケーションが、より大きな意味を持ちます。マスクで表情が見えにくい分、その立ち居振る舞い全体で、故人を悼み、ご遺族をいたわる気持ちを、表現することを心がけましょう。

  • 葬儀でポップスや歌謡曲を選ぶ際の注意点

    知識

    故人が生前大好きだったポップスや歌謡曲を、葬儀のBGMとして流したい。そのお気持ちは、故人らしさを表現する上で、非常に尊いものです。しかし、誰もが知っているポピュラーな楽曲を選ぶ際には、その歌詞の内容や、曲調が、葬儀という厳粛な場にふさわしいかどうか、慎重に判断する必要があります。ここでは、ポップスや歌謡曲を選ぶ際の、いくつかの注意点を解説します。まず、最も重要なのが「歌詞の内容」の確認です。メロディーがどんなに美しくても、歌詞に、死や別れを直接的に連想させる、あまりに悲壮感が強い言葉や、逆に、恋愛の喜びを歌うような、場違いに明るい言葉が含まれている場合は、避けるのが賢明です。また、「死」や「別れ」をテーマにした曲であっても、その表現が暴力的であったり、虚無的であったりするものは、葬儀の場にはふさわしくありません。参列者の中には、ご年配の方や、様々な宗教観を持つ方がいることを、常に念頭に置く必要があります。歌詞の内容が、普遍的な「感謝」「愛情」「旅立ち」「再会への希望」といった、ポジティブで、誰もが共感できるテーマを歌っている曲を選ぶのが、最も安全で、心に響く選択と言えるでしょう。次に、「曲調(アレンジ)」にも配慮が必要です。たとえ歌詞が素晴らしくても、アップテンポで、激しいリズムの曲は、静かで厳粛な葬儀の雰囲気を壊してしまいかねません。もし、故人が好きだった曲が、そのような曲調であった場合は、オルゴールバージョンや、ピアノや弦楽器によるインストゥルメンタル(歌なし)バージョンを探してみるのが、非常に良い方法です。歌声がないことで、歌詞の直接的な意味合いが和らぎ、メロディーの美しさだけが、心に静かに染み渡ります。また、葬儀社によっては、プロの演奏家による「生演奏」をオプションで依頼できる場合もあります。故人が好きだった曲を、ピアノやヴァイオリンの生演奏で捧げる、というのも、非常に感動的で、贅沢な演出です。故人らしさを追求するあまり、ご遺族の自己満足になってしまっては、本末転倒です。その曲を聴いた参列者全員が、心穏やかに、そして温かい気持ちで故人を偲ぶことができるか。その客観的な視点を、決して忘れないようにしましょう。

  • 返礼品の相場と香典返しとの関係

    生活

    葬儀の返礼品を準備する際、ご遺族が頭を悩ませるのが、その「金額の相場」です。一体、いくらくらいの品物を用意すれば、失礼にあたらず、感謝の気持ちを適切に伝えることができるのでしょうか。この相場を考える上で、返礼品が持つ二つの側面、「会葬御礼」と「香典返し」の関係を理解することが重要になります。まず、「会葬御礼」としての返礼品は、香典の有無にかかわらず、弔問に訪れてくださったすべての方にお渡しするものです。これは、足を運んでくださったことへの感謝の気持ちですので、あまり高額な品物である必要はありません。一般的には、五百円から千五百円程度の、ハンカチやお茶、お清めの塩などをセットにしたものが選ばれます。次に、「香典返し」です。これは、いただいた香典に対するお礼であり、その相場は「半返し」または「三分の一返し」が基本とされています。つまり、いただいた香典の金額の、半額から三分の一程度の品物をお返しするのがマナーです。例えば、一万円の香典をいただいたら、三千円から五千円程度の品物をお返しします。ここで、現代の主流である「即日返し(当日返し)」の考え方が登場します。即日返しでは、葬儀当日に、会葬御礼と香典返しを兼ねた「返礼品」として、一つの品物をお渡しします。この場合、いただく香典の額は様々ですが、一般的に最も多いとされる五千円から一万円の香典を想定して、そのお返しとなる「二千円から五千円程度」の品物を、あらかじめ一律で用意しておくのです。具体的には、会葬御礼品として千円程度の品物と、香典返しとして三千円程度の品物(例えばカタログギフト)を組み合わせ、合計四千円程度の返礼品セットにする、といった形がよく見られます。この方法であれば、多くの方に対しては、当日のお渡しだけで香典返しが完了します。ただし、二万円、三万円といった高額な香典をいただいた方に対しては、当日の返礼品だけでは不十分です。この場合は、後日、四十九日の忌明けを待って、いただいた金額に見合うよう、差額分の品物を「後返し」として改めて送る必要があります。この追加の対応を忘れないことが、即日返しを行う上での最も重要なマナーです。相場を理解し、適切な対応をすることで、すべての方に公平に感謝の気持ちを伝えることができるのです。

  • 葬儀での音楽使用と著作権の問題

    知識

    故人が好きだった、思い出のポップスや歌謡曲を、葬儀で流したい。その願いは、近年、ごく当たり前のものになりつつあります。しかし、この「市販の楽曲」を葬儀の場で使用する際には、「著作権」という、法律上の問題が関わってくることを、私たちは知っておく必要があります。何も知らずに無断で使用してしまうと、意図せず著作権侵害となってしまう可能性もゼロではありません。まず、大前提として、日本で販売されているほとんどの楽曲は、作詞家、作曲家、そしてレコード会社などの権利者が「著作権」を持っています。そして、これらの楽曲を、公の場で、営利・非営利を問わず演奏したり、再生したりする際には、原則として、著作権者の許可を得て、所定の使用料を支払う必要がある、と法律で定められています。葬儀は、私的な集まりではありますが、不特定多数の人が集まる場であり、商業施設である斎場で行われるため、「公の場」と見なされるのが一般的です。したがって、厳密に言えば、葬儀で市販のCDを再生する場合も、著作権の手続きが必要となるのです。この著作権の管理を、包括的に行っているのが「JASRAC(日本音楽著作権協会)」です。葬儀社や斎場が、JASRACと年間包括契約を結んでいる場合は、その施設内で楽曲を使用することに、法的な問題は生じません。近年、多くの大手葬儀社や斎場では、この包括契約を結ぶ動きが広がっています。そのため、まずは葬儀を依頼する葬儀社に、「こちらで用意したCDを流したいのですが、著作権の手続きは大丈夫でしょうか」と、直接確認するのが、最も確実な方法です。もし、葬儀社がJASRACと契約していない場合は、ご遺族が、個別にJASRACのウェブサイトなどから、一曲ごとの使用許諾申請を行い、数百円程度の使用料を支払う、という手続きが必要になります。また、プロの演奏家による「生演奏」の場合も、同様に著作権の手続きが必要です。少し面倒に感じられるかもしれませんが、これは、音楽という文化を創り出したアーティストたちの権利を守るための、非常に重要なルールです。故人が愛した素晴らしい音楽への敬意を払う、という意味でも、この著作権の問題を正しく理解し、適切な手続きを踏むことが、品格のあるお別れに繋がるのです。

  • ドライアイス処置とエンバーミングの違い

    知識

    故人様のご遺体を、葬儀の日まで安らかで美しい状態に保つための方法として、日本では「ドライアイス」による冷却が最も一般的です。しかし、欧米などを中心に、より積極的な保全処置として「エンバーミング」という技術が広く行われていることも、知っておくと良いでしょう。この二つの方法は、目的は同じでも、そのアプローチと効果、そして費用が大きく異なります。まず、「ドライアイス処置」は、これまで述べてきた通り、ご遺体を外部から冷却することで、腐敗の進行を「遅らせる」方法です。マイナス七十九度のドライアイスで体温を下げることにより、細菌の活動を抑制します。これは、あくまで一時的な処置であり、時間の経過と共に、少しずつお体の変化は進行していきます。メリットは、ほとんど全ての葬儀プランに標準で含まれており、比較的安価であること。デメリットは、保全効果が数日間と限られており、常にドライアイスの交換が必要であること、そしてご遺体に触れると非常に冷たい、という点です-。一方、「エンバーミング」は、ご遺体に専門的な外科的・化学的な処置を施すことで、腐敗を「防ぎ」、長期的な保全を可能にする技術です。エンバーマーと呼ばれる国家資格を持つ専門家が、ご遺体の血管(主に動脈)から、防腐・殺菌効果のある特殊な薬液を注入し、同時に、体内に残った血液を排出します。これにより、ご遺体は腐敗から守られるだけでなく、生前の元気だった頃に近い、自然な血色と、安らかな表情を取り戻すことができます。メリットは、その高い保全効果です。ドライアイスなしで、常温でも十日から二週間程度、美しい状態を保つことができ、感染症のリスクも防げます。闘病で痩せてしまったお顔をふっくらとさせたり、事故などで損傷した部分を修復したりすることも可能です。故人との対面を、より穏やかな気持ちで行えるという、ご遺族への精神的な効果は計り知れません。デメリットは、費用が高額であることです。処置には十五万円から二十五万円程度の費用がかかり、葬儀費用とは別に必要となります。また、ご遺体にメスを入れるということに、心理的な抵抗を感じる方もいるかもしれません。どちらの方法が良いかは、一概には言えません。

  • 葬儀社が見せるドライアイス処置のプロ技術

    知識

    葬儀におけるドライアイス処置と聞くと、私たちは単に「ご遺体を冷やすための作業」と捉えがちです。しかし、経験豊富な葬儀社のスタッフが行う処置は、それほど単純なものではありません。そこには、故人様の尊厳を守り、ご遺族の心を癒やすための、長年の経験に裏打ちされた、様々なプロフェッショナルな技術と、細やかな配慮が隠されています。まず、ドライアイスを置く「量」と「場所」です。ただやみくもに大量に置けば良いというものではありません。ドライアイスを直接ご遺体に当ててしまうと、その部分だけが凍結し、皮膚が変色してしまう「凍結火傷(フリーズドライ)」を起こす可能性があります。プロのスタッフは、ご遺体の状態や、室温、安置日数などを総合的に判断し、適切な量のドライアイスを、必ずタオルや布で何重にも包んでから、効果的な場所に配置します。主に、内臓があり腐敗が進みやすい腹部や胸部が中心となりますが、状況に応じて、首元や足元などにも配置し、全身を均一に、そして穏やかに冷却していきます。次に、故人様の「お顔」への配慮です。ご遺族が最も目にし、心に刻むのが、故人様の最後の穏やかなお顔です。しかし、死後変化によって、お口がわずかに開いてしまったり、頬がこけてしまったりすることがあります。葬儀社のスタッフは、こうした変化を最小限に食い止めるため、顎を支える処置を施したり、頬に含み綿を入れたりといった、専門的なケアを行います。そして、お顔の周りに直接ドライアイスを置くことは、極力避けます。お顔の近くを冷やしすぎると、結露によって水滴がついてしまったり、表情が硬直してしまったりするからです。その代わりに、首の後ろや肩のあたりを効果的に冷やすことで、お顔の状態を自然に保つのです。さらに、プロの仕事は、その「立ち居振る-舞い」にも表れます。ドライアイスを交換するためにご遺族の自宅を訪問する際には、常に故人様に対して、まるで生きているかのように、敬意のこもった言葉をかけます。「〇〇様、失礼いたします。少し冷たくなりますね」。こうした丁寧な所作と声かけは、ご遺体を作業の対象としてではなく、一人の尊厳ある個人として扱っていることの証しであり、ご遺族の心に大きな安心感を与えます。ただ冷やすだけではない、故人への敬意と、遺族への思いやりに満ちた処置。それが、葬儀のプロが見せる、真の技術なのです。

  • 葬儀にふさわしいマスクの色と選び方

    生活

    葬儀におけるマスク着用が、個人の判断に委ねられるようになった現在、もしマスクを着用すると決めた場合、次に考えるべきは「どのようなマスクを選ぶか」という点です。服装や持ち物と同様に、マスクにも、その場にふさわしい色やデザインが存在します。細やかな配慮が、あなたの弔意をより深く伝えてくれます。まず、最も理想的で、間違いのないマスクの色は「白」です。白は、清潔感があり、フォーマルな場にも適した色とされています。不織布の使い捨てマスクであれば、ほとんどが白色ですので、これを着用すれば、まずマナー違反と見なされることはありません。次に、白がない場合に許容される色としては「黒」が挙げられます。黒は、喪に服す色であり、喪服との一体感も生まれます。ただし、黒いマスクは、人によっては威圧感や、少し怖い印象を与えてしまう可能性もゼロではありません。特に、布製やウレタン製の黒マスクは、カジュアルなイメージが強いため、できれば不織布のものを選ぶのが無難でしょう。白か黒か、で迷った場合は、よりニュートラルで清潔感のある「白」を選んでおくのが、最も安全な選択です。グレーやベージュ、薄いピンクといった、淡い色のカラーマスクも、近年では広く普及していますが、葬儀の場では避けるのが賢明です。これらは、どうしても日常的な、おしゃれとしてのイメージが拭えず、厳粛な場の雰囲気にそぐわない可能性があります。そして、絶対に避けなければならないのが、派手な色や、柄、ロゴが入ったデザインマスクです。キャラクターものや、カラフルな模様のマスクは、言うまでもなく論外です。葬儀は、個性を主張する場ではありません。マスク選びの基本は、服装と同じく「控えめであること」「清潔感があること」「華美でないこと」です。また、マスクの状態にも気を配りましょう。黄ばんでいたり、毛羽立っていたりする使い古しのマスクは、だらしない印象を与えます。必ず、清潔な新しいマスクを着用して参列しましょう。予備を一枚、バッグに忍ばせておくと、ゴムが切れたり、汚れたりした際に、慌てずに済みます。