葬儀の見積もり書を見ると、「ドライアイス」という項目が記載されていることに気づくでしょう。この費用は、一体どのような基準で計算され、総額でどのくらいかかるものなのでしょうか。その料金体系と相場を理解しておくことは、葬儀費用全体を把握し、後々のトラブルを避けるために重要です。ドライアイスの費用は、多くの場合、「一日あたりの単価 × 安置日数」で計算されます。一日あたりの単価の相場は、葬儀社によって異なりますが、おおむね七千円から一万円程度が一般的です。この単価には、ドライアイスそのものの料金だけでなく、葬儀社のスタッフが定期的にご自宅や安置施設を訪問し、ドライアイスを交換・追加するための人件費や出張費も含まれていると考えるのが妥当です。例えば、一日一万円の料金設定で、ご逝去からお通夜までの三日間、ご遺体を安置した場合、ドライアイス代は三万円ということになります。多くの葬儀社が提供している「〇〇万円プラン」といったパッケージプランには、通常、二日から三日分のドライアイス代金が、あらかじめ含まれていることがほとんどです。しかし、ここで注意が必要なのが、火葬場の予約状況によって、安置日数が予定よりも延びてしまうケースです。特に、友引明けや連休明けなど、火葬場が混み合っている時期には、亡くなられてから火葬まで、五日から一週間以上も待たなければならないことも珍しくありません。このような場合、プランに含まれている日数を超えた分のドライアイス代は、「追加費用」として別途請求されることになります。一日一万円とすると、もし安置が三日間延びれば、三万円が追加で必要になる計算です。この追加費用の可能性について、事前に丁寧な説明がないと、後から「思ったより高額になった」というトラブルの原因になりかねません。葬儀社との打ち合わせの際には、必ず「プランに含まれているドライアイスは何日分ですか?」「もし安置日数が延びた場合、一日あたりの追加料金はいくらですか?」と、具体的な金額を確認しておくことが不可欠です。ドライアイス代は、葬儀の日程を左右する外部要因によって大きく変動する費用である、ということを、あらかじめ心に留めておきましょう。