葬儀におけるマスク着用が、個人の判断に委ねられるようになった現在、もしマスクを着用すると決めた場合、次に考えるべきは「どのようなマスクを選ぶか」という点です。服装や持ち物と同様に、マスクにも、その場にふさわしい色やデザインが存在します。細やかな配慮が、あなたの弔意をより深く伝えてくれます。まず、最も理想的で、間違いのないマスクの色は「白」です。白は、清潔感があり、フォーマルな場にも適した色とされています。不織布の使い捨てマスクであれば、ほとんどが白色ですので、これを着用すれば、まずマナー違反と見なされることはありません。次に、白がない場合に許容される色としては「黒」が挙げられます。黒は、喪に服す色であり、喪服との一体感も生まれます。ただし、黒いマスクは、人によっては威圧感や、少し怖い印象を与えてしまう可能性もゼロではありません。特に、布製やウレタン製の黒マスクは、カジュアルなイメージが強いため、できれば不織布のものを選ぶのが無難でしょう。白か黒か、で迷った場合は、よりニュートラルで清潔感のある「白」を選んでおくのが、最も安全な選択です。グレーやベージュ、薄いピンクといった、淡い色のカラーマスクも、近年では広く普及していますが、葬儀の場では避けるのが賢明です。これらは、どうしても日常的な、おしゃれとしてのイメージが拭えず、厳粛な場の雰囲気にそぐわない可能性があります。そして、絶対に避けなければならないのが、派手な色や、柄、ロゴが入ったデザインマスクです。キャラクターものや、カラフルな模様のマスクは、言うまでもなく論外です。葬儀は、個性を主張する場ではありません。マスク選びの基本は、服装と同じく「控えめであること」「清潔感があること」「華美でないこと」です。また、マスクの状態にも気を配りましょう。黄ばんでいたり、毛羽立っていたりする使い古しのマスクは、だらしない印象を与えます。必ず、清潔な新しいマスクを着用して参列しましょう。予備を一枚、バッグに忍ばせておくと、ゴムが切れたり、汚れたりした際に、慌てずに済みます。